平成29年第1回行方市議会定例会施政方針
平成29年第1回市議会定例会の開会にあたり、新年度当初予算をはじめとする重要案件の説明に先立ち、市政運営に臨む所信の一端を申し上げます。
昨年は、本市にとりまして、災害も少なく穏やかに過ごすことができた年でありました。
しかしながら、国内に目を向けますと、熊本地震や鳥取県中部地震、新潟県の大規模火災など、大きな災害が発生いたしました。
東日本大震災から6年、関東・東北豪雨から1年半となりますが、災害はいつ発生するか予測もできないことから、日頃より防災意識を高めておくべきものと考えております。
このため、市民の皆さまと共に、迅速かつ適切な対応を図ることができるよう、「自助」「共助」「公助」の考え方に基づき、防災体制を整えていく所存です。
また、東日本大震災については、復興・復旧にとどまらず、この未曽有の災害に対する教訓について、広く後世に伝えていくことも重要であります。
本市は、平成17年に市制施行後、13年目を迎え、これまで、市制施行にかかる事務事業の調整および統合に始まり、積極的な行財政改革への取り組み、そして、新たなまちづくりを進めてまいりました。
私も、平成25年10月に市民の皆さまの信託を賜り、市政のかじ取り役を任されてから、早や3年4か月が過ぎようとしております。
この間、多くの市民の皆さまからの負託に応えるべく、一日一日全力で「元気な行方市づくり」に取り組んでまいりました。
その結果、公約に掲げておりました、子育て支援・教育の充実のための「医療福祉費(マル福)制度の拡充」や「5歳児交流事業」、「スクールバスの個人負担の軽減」、「給食内容の充実」、市民が安心して暮らせる社会づくりのための「医師確保」に取り組み、救急医療体制も向上させることができました。
また、産業の充実を図るためのトップセールスによる企業誘致に取り組み、学校跡地を活用した「なめがたファーマーズ・ヴィレッジ」がオープンしました。1年余りで21万人を超える観光客が訪れ、新たな観光スポットとして、交流人口の拡大につながりました。
これもひとえに市議会議員の皆さまをはじめ、市民の皆さま、関係者の皆さまのご理解とご協力の賜物であると、深く感謝申し上げます。
わが国の景気は、昨年12月に政府が発表した「平成29年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によりますと、経済対策など各種政策の推進等により、雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が進展する中で、民需を中心とした景気回復が見込まれており、実質GDPおよび名目GDP成長率のいずれも昨年に比較して上回ると予測されております。その反面、先行きのリスクとしては、欧州や北米など海外経済の不確実性、金融資本市場の影響などもあり不透明な部分も多くあるとの観測となっております。
このような中、国は、「一億総活躍社会の実現」「経済再生」「働き方改革」などを重要政策課題として、過去最高規模となる97兆4千億円の平成29年度当初予算案を編成しました。
また、茨城県におきましては、財政構造改革を進めながら、東日本大震災および関東・東北豪雨からの復旧・復興と災害に強い県土づくりを推進するとともに、人口減少社会の中で各種施策を計画的に進めるため、昨年と同程度の約1兆1千億円規模での当初予算の編成を進めております。
本市の人口は、合併当時の平成17年に約4万人であったものが、平成27年には、3万5千人弱となり、10年間で約5千人の減少となっております。
あわせて、65歳以上の人口の割合も、この10年間で5.8ポイント増加して、31.5パーセントとなりました。
人口減少の主な要因は、出生数の低下による自然減と、特に若者の転出による社会減によるものであり、今後さらに深刻な状況が予測されております。
本市の人口は、国の機関によりますと18年後の2035年には、2万6千人程度になると推計されますが、できるだけ、人口減少の幅を小さくできるよう、その取り組みを掲げた「行方市総合戦略書」を平成27年度末に策定しました。
戦略書の策定にあたっては、市民、市議会、行政が三位一体となり、多くの議論を経て、手作りで進めてまいりましたが、今後いかにして実行に移していくかが重要となります。戦略書を効果的、効率的に進めていくため、実施計画を新たに策定するとともに、毎年「プラン・ドウ・チェック・アクション」のPDCAサイクルにより進行管理を行ってまいります。そして、その際にも、市議会、市民にご参加いただき、より実効性のあるものにしてまいります。
また、身の丈にあった行政運営のためには、老朽化が進む公共施設をいかに維持管理していくのかが、今後の課題となっており、昨年、「公共施設等総合管理計画」を策定しました。平成29年度は、市民にも参加いただきながら、具体的な方針づくりを進めていきたいと考えております。
さらには、この2つの重要な計画「総合戦略書」および「公共施設等総合管理計画」を実現するには、効果的な行政経営や地域経営が求められていることから、新たに経営戦略を策定し、一体的に取り組んでまいります。
いずれにいたしましても、本市のまちづくりの基本は、「市民力」となりますので、引き続き市民との協働共創にて、「笑顔で住み続けたいまち、行方」の実現を目指して、積極的な取り組みを進めていきたいと考えております。
新年度の予算規模については、少子高齢化と人口減少の同時進行等を要因とする社会保障費の増額に対応することを考慮しながら、また、公共施設の最適化への取り組みを併せて推し進める非常に難しい舵取りを行いながら、本市の身の丈に合った財政運営を行うべく、一般会計予算(案)165億円と昨年度同額を計上いたしました。
企業会計である水道事業および特別会計全体と合わせた予算規模は、292億7320万円となり、前年度対比0.7パーセント増となる予算案といたしました。
昨年度から普通交付税算定の合併特例による増額分が5年間かけて減額していくことから、引き続き財政構造改革等、歳出の抑制を行い健全な財政運営に努めていきたいと考えております。
また、総合戦略書に沿った施策を推進するため、市が直面する喫緊の課題である「廃校校舎の除却」や将来を見据えた重要課題である「子育てや教育」、「情報発信」などへ重点的に予算配分する一方で、行財政の持続可能性、将来世代への負担軽減に配慮し、身の丈にあった行政サービスを展開するため、経常経費を可能な限り削減し、メリハリを効かせた歳出の効率化・重点化を図りました。
それでは、平成29年度の市政運営にあたり、総合戦略書に掲げた5つの重点プロジェクトに基づき、実施する施策について申し述べさせていただきます。
まず、1つ目の重点プロジェクトとして「働く場の拡大プロジェクト」の推進であります。
基本目標である「基幹産業である農業を盛り上げる!」、「地域に根差した産業を活性化して『働く場』を確保する!」を目指し、事業を推進してまいります。
先日、平成26年の市町村別農業産出額が発表され、本市は240億円を超え、全国で44位となりました。また、JAなめがたかんしょ部会が日本農業大賞を受賞し、改めて、誇りに感じるとともに、本市農業の持つ可能性の高さを実感いたしました。
本市としましても、基幹産業である農業について、しっかりと本市農畜水産物のブランド化を図り、トップセールスを通して、消費拡大、販売促進を後押ししてまいります。
また、北海道の登別市および網走市との農水畜産物の振興に関する確認書、そして、大阪府泉佐野市との特産品相互取扱協定を締結しました。東京都墨田区や武蔵野市をはじめとする都市交流事業とあわせて、積極的なPRおよび販路の拡大などを進めてまいります。
6次産業化の推進に向けては、平成29年度も東京農業大学に協力いただき人材育成事業を実施いたします。生産者と大学・企業等の連携により、農畜水産物の加工や流通、販売などのルートの構築や、商品開発などに取り組んでまいります。
また、近年増加しているイノシシをはじめとする農作物等の鳥獣被害への防止対策としまして、電気柵設置に係る助成の拡充等を図ってまいります。
商工業に関しましては、後継者不足や商店街の衰退に歯止めをかけるため、商工会が行う創業希望者を対象とした創業塾の開催に対し補助を行い、市、商工会、金融機関等が連携して創業者の掘り起しを図ってまいります。
次に、2つ目の重点プロジェクトとして、「健康で文化的なまちプロジェクト」であります。
基本目標である「日本一『元気で包容力のある地域』をつくる!」、「市民の不満と不安を一掃する医療体制を構築する!」を目指し、事業を推進してまいります。
まずは、医師数が全国基準にて下位に位置する茨城県、県内でもさらに低い鹿行エリアでの医療の不安を解消するため、市内の中核病院である「土浦協同病院なめがた地域医療センター」および近隣市と昨年結成した、同センター連絡協議会と連携を密に行いながら、医師確保対策や救急医療・地域医療体制の充実を図ってまいります。
新規の保健事業としましては、骨髄移植ドナー支援助成事業を開始し、ドナーの方とその雇用者の双方に対して助成を行っていきます。
また、団塊の世代が75歳以上となる平成37年に向けて、65歳以上を対象とした、介護予防と日常生活の自立を支援する新たな総合事業を開始いたします。このため、地域包括支援センター機能の一層の充実を図ってまいります。
次に、3つ目の重点プロジェクトとして「住みやすい地域プロジェクト」であります。
基本目標である「住みやすい環境を整備する!」、「市民のニーズにあった公共交通を実現する!」、「公共施設、インフラを持続可能とする!」を目指して、事業を推進してまいります。
まず、本市の課題である人口減少を抑制するためには、定住人口の確保や移住を促進する必要があり、そのためには、住環境のみならず、働く場の確保や生活環境の整備、子育て支援など、総合的な取り組みが重要になってまいります。このため、UターンIターンJターン者への住宅助成を増額することや、定住相談窓口を開設し、定住移住希望者に対して、ワンストップでの情報提供に努めてまいります。
結婚対策としましては、婚姻に係る住居費の一部を支援することにより、結婚を踏み出しやすい環境を整備してまいります。
公共交通対策としましては、引き続き市内を運行するデマンド型タクシー事業を行いますとともに、近隣市との連携により「霞ヶ浦広域バス」や「鹿行北浦ライン」の運行を支援してまいります。さらに、市内各地の拠点を連絡する新たな路線の運行も目指してまいります。
次に、4つ目の重点プロジェクトとして「みんなで育むプロジェクト」であります。
基本目標である「子育てしやすい地域にする!」、「行方の特色を活かした教育を行う!」、「子どもを産みたい希望を叶え、住みたいまちをつくる!」を目指して、事業を推進してまいります。
まず、子育て支援の新たな取り組みとして、この4月から、北浦保健センター内に、「子育て世代包括支援センター」を設置いたします。妊娠期からの子育てサポートや、子育て相談窓口の一元化を図り、子育て支援の充実強化を図ってまいります。
また、不妊治療費助成については、これまでの助成額を倍増し、子どもを産みたい希望を叶える一助といたします。
学校教育分野では、未来を担う本市の中学生が、海外との交流と通して、語学だけでなく国際理解を深めるため、オーストラリアへ派遣しておりましたが、平成29年度は、オーストラリアからの学生を受け入れる相互交流に着手してまいります。
また、安全で安心な教育環境の充実を図るため、小中学校へ防犯カメラを導入するほか、玉造幼稚園の天井改修を行ってまいります。
さらには、平成31年開催の茨城国体に向けた選手の育成・強化を図るため、遠征費用などの経費の一部を支援する事業を拡充してまいります。
次に、5つ目の重点プロジェクトとして「情報発信で日本一プロジェクト」であります。
基本目標である「全市民が情報発信源となり、情報発信日本一の市を目指す!」について事業を推進してまいります。
まずは、その核となるべく、防災対応型エリア放送「なめがたエリアテレビ」について、できるだけ早い時期に、市内全域に視聴エリアを拡大し、防災・減災に向けた、情報伝達手段の複合化を図ってまいります。
一方で、防災・減災に向けた情報の取得のためには、日常からの視聴の習慣化・定着化が課題であることから、持続可能な番組制作および運営を目指していくためにも、多くの市民の皆さまに参画いただく取り組みが極めて重要であります。さらに、市民協働に加え、『産(さん)(産業界)・官(かん)(行政機関)・学(がく)(教育機関)・金(きん)(金融機関)・労(ろう)(労働団体)・言(げん)(メディア)』といった各界・各層との相互関係を構築していきます。現在、先駆的な教育機関である専修大学、そして、「笑いの力で、地方の活性化」を掲げている「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」との間に、それぞれ、地域活性化に関する事業連携を締結しており、引き続き充実した番組制作を進めていきます。
今後も、市内の小中・高等学校はもとより関係団体と連携し、引き続き、市民交流や人材育成に力を注いでまいります。
さらには、新たに「市報なめがた」の電子書籍化を導入し、多言語化に対応しますとともに、ホームページの充実など情報発信力を強化してまいります。
また、年々増額となっている「ふるさと納税」を活用し、返礼品となる本市の特産品などを通じて、認知度を高めるなど、情報発信に引き続き取り組みますとともに、いただいた寄付金につきましては、寄付者の希望に沿う形で、対象事業へ効果的に充当してまいります。
以上、平成29年度に取り組む主な施策事業について、ご説明を申し上げました。議員各位ならびに市民の皆さまの市政に対するご理解と一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、今定例会に付議いたします案件について、ご説明いたします。
提出議案は、予算関係議案が17件、条例関係議案が7件、その他の議案が4件、合わせて28件となります。
予算関係議案につきましては、平成28年度補正予算に関するものが8件、平成29年度当初予算に関するものが9件であります。
条例関係議案につきましては、新たな条例としまして「行方市犯罪被害者等基本条例の制定について」が1件、「行方市介護保険条例の一部を改正する条例について」など、改正するものが6件であります。
その他の議案につきましては、公平委員会委員の選任、市道路線の認定、相互救済事業経営の委託、財産の譲渡の合計4件であります。
詳細については、のちほど、担当する者から、ご説明を申しあげますので、慎重にご審議のうえ、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
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- 2021年10月20日
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