行方市のコウノトリ個体保護の取り組み
行方市内に国の特別天然記念物「コウノトリ」がいるのをご存知でしょうか。
(写真提供:溝口一郎氏)
一度は絶滅してしまった日本の野生コウノトリですが、着々と個体数を増やし、全国へと繁殖地を広げています。
なんと、行方市内では令和5年から3年連続で繁殖が確認されており、市ではコウノトリの個体保護事業を行ってきました。
これまで行方市が行ってきたコウノトリの取り組みについてご紹介します。
コウノトリってなに
コウノトリは羽を広げると2メートルほどにもなる大型の鳥で、カエルや昆虫、小魚などをエサにしています。
(写真提供:溝口一郎氏)
かつては、日本全国でその姿を確認することができていましたが、生息環境の悪化により昭和46年に絶滅してしまいました。
しかし、平成17年以降の試験放鳥等により、全国で繁殖が確認されるようになり、令和7年6月末には野外コウノトリが500羽に到達し、個体数を増やしています。
これまでの取り組み
人工巣塔
令和5年と令和6年は電波塔で営巣しましたが、電波塔での子育ては感電等の危険が伴います。
(電波塔での営巣の様子 写真提供:溝口一郎氏)
行方市ではコウノトリが安全に子育てができるように、令和7年1月に市内山田地区に人工巣塔を設置しました。
設置場所は、コウノトリの目撃情報や餌場が多い場所を探したり、兵庫県立コウノトリの郷公園の専門家からアドバイスを受けたりなどして選定しました。
コウノトリの営巣は、設置1ヶ月後である翌月2月に確認されました。
人工巣塔を設置してもコウノトリが営巣するまで時間がかかる場合もあるなかで、設置1ヶ月後に営巣が確認されたのは「とても早い」と専門家も驚くスピード。それほど、行方市がコウノトリにとって子育てしやすい環境が整っている証拠なのでしょう。
足環装着
多くのコウノトリの両脚には足環が装着されています。
この足環には個体によって異なる番号が記載されており、この番号を調べると出身地や親鳥の情報などを知ることができ、個体識別が容易になります。
足環装着は兵庫県立コウノトリの郷公園の専門家をはじめ、関東地方の動物園の飼育員や獣医師などの協力で実施され、孵化から約43日前後のヒナを捕獲し足環を装着して巣に戻します。
高さ約12メートルの人工巣塔で誕生したヒナの足環装着の際には、高所作業車を使用して巣の上まで上昇し捕獲します。
捕獲したヒナには暴れないように保定布で包み、目隠しをします。
ヒナといえど、この時点で体長は80センチメートルほどあります。
巣からおろしたヒナは、足環装着の他に体重測定や検体採取など健康に育っているかチェックを行います。
また、コウノトリは見た目で雌雄の判別をすることができないため、この時採取した検体をもとに性別を調べます。
足環装着したヒナを巣へ戻し、親鳥が帰巣するのを確認して作業完了です。
愛称募集
市内で育ったコウノトリに親しみをもってもらうことを目的に、初めて繁殖が確認された令和5年度から、市内で誕生したコウノトリの愛称を全国から募集し、名付けています。
これまで愛称をつけたコウノトリは表のとおりです。
年度 | 個体識別番号 | 性別 | 愛称 |
---|---|---|---|
令和5年度 | J0674 | メス | うらら |
J0675 | オス | 浦太郎(うらたろう) | |
令和6年度 | J0735 | メス | 湖夢(こゆめ) |
J0737 | メス | あーちゃん | |
J0738 | メス | 百華(ももか) |
市内で誕生したコウノトリたちは、いま日本全国を飛び回り、冒険をしている最中です。
もし、コウノトリを目撃した際には150メートル以上離れて、温かく見守っていただくようお願いします。
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- 2025年8月28日
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