○行方市環境基本条例

平成27年12月9日

条例第25号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画等(第7条・第8条)

第2節 環境の保全及び創造のための施策等(第9条―第17条)

第3節 地球環境保全の推進等(第18条)

第3章 環境審議会(第19条)

第4章 雑則(第20条)

附則

私たちの郷土行方市は,茨城県を代表する霞ヶ浦と北浦の豊かな水辺が東西に位置し,内陸部には行方台地の豊かな緑が広がる自然環境を有している。この誇れる湖と肥沃な大地の恵みを受け,古くから漁業や農業の基幹産業をはじめ,様々な歴史・文化を紡いできた。

しかしながら,産業の拡大と近代化,生活における便利さと豊かさの追求などによる社会経済活動は,資源やエネルギーを大量に消費して,水質汚濁や緑の減少など自然環境を悪化させ,さらに廃棄物の増大や地球温暖化問題など多岐にわたる環境の課題に直面する結果となった。

私たちは,これまでの生活様式や事業活動を見直し,自らの生活や行動を環境への負荷の少ないものに変えていき,人と自然が共生するゆとりと潤いに満ちたまちを目指して,市,市民及び事業者がそれぞれの責務を果たしていくことにより,豊かで愛着ある自然環境を将来の世代に引き継ぐことができるよう協力し合い行動していかなければならない。

このような考え方に立ち,健全で恵み豊かな環境を保全するため,ここに,行方市の環境に関する基本理念を明らかにして,その方向性を示し,将来に向かい,良好な環境形成に関する取り組みを,総合的かつ計画的に推進するため,この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,環境の保全及び創造について,基本理念を定め,並びに行方市(以下「市」という。),市民及び事業者の責務を明らかにするとともに,環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行,海洋の汚染,野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって,人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。),土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって,人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は,私たちを取り巻く環境が,自然の生態系と微妙な均衡のもとに成り立っており,私たちの社会活動により様々な影響を受けるものであること,また,豊かな自然環境の恵みを全ての生物が享受し共生していることを認識し,良好な環境が将来の世代へ継承されるように,適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は,日常生活や事業活動による環境への負荷をできる限り低減することその他の環境保全に関する行動が,全ての者の公平な役割分担のもとに自主的かつ積極的に取り組まれることにより,健全で恵み豊かな環境を維持しつつ,経済社会のシステムや生活様式の転換により持続的な発展が可能な社会を目指して行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は,自然環境が多様な構成要素と密接な関連のもとに調和が保たれていることに鑑み,私たちの活動によって引き起こされる影響に配慮した地域づくりを行うとともに,健全な自然と人とのふれあいを確保することにより,自然と人が共生できる社会の実現を目指して行われなければならない。

4 地球環境保全は,市,市民及び事業者が人類共通の課題であることを認識して,全ての日常生活及び事業活動において自主的かつ積極的に推進しなければならない。

(市の責務)

第4条 市は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,環境の保全及び創造に関する総合的な施策を策定し,及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動を行うに当たっては,環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に努めるとともに,公害を防止し,又は自然環境を適正に保全するため,必要な措置を講ずる責務を有する。この場合において,事業者は,特に次に掲げる事項に配慮するものとする。

(1) 事業の内容,地域の状況等を勘案して,環境の保全及び創造上の支障が生じないように,工場又は事業所等を設置し,及び事業活動を行う場所を選定すること。

(2) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料等を利用する措置を講ずること。

(3) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に,その適正な処理が図られることとなるように,必要な措置を講ずること。

(4) 前号に定めるもののほか,事業活動に係る製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷の低減が図られることとなるように,必要な措置を講ずること。

(5) 事業活動に係る製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するために必要な情報を提供すること。

2 前項に定めるもののほか,事業者は,市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は,基本理念にのっとり,環境の保全及び創造上の支障を防止するため,その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか,市民は,基本理念にのっとり,環境の保全及び創造に自ら努めるとともに,市が実施する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 環境基本計画等

(環境基本計画)

第7条 市長は,環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか,環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は,環境基本計画を定めるに当たっては,あらかじめ市民の意見を反映することができるように,必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は,環境基本計画を定めるに当たっては,行方市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は,環境基本計画を定めたときは,遅滞なく,これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は,環境基本計画の変更について準用する。

(施策の基本方針)

第8条 市は,環境の保全及び創造に関する施策を策定し,及び実施するに当たっては,各種の施策相互の連携を図りつつ環境基本計画に基づき総合的かつ計画的に行わなければならない。

2 市は,環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し,及び実施するに当たっては,環境基本計画との整合を図ること等により環境への負荷が低減されるように行わなければならない。

第2節 環境の保全及び創造のための施策等

(規制等の措置)

第9条 市は,環境の保全上の支障を防止するため,必要な規制等の措置を講ずるものとする。

(環境影響評価の促進)

第10条 市は,土地の形状の変更,工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が,その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査,予測又は評価を行い,その結果に基づき,その事業に係る環境の保全及び創造について適正に配慮することを促進するため,必要な措置を講ずるものとする。

(資源の循環的利用等の促進)

第11条 市は,環境への負荷の低減を図るため,廃棄物の処理の適正化を推進するとともに,市民及び事業者による廃棄物の減量,資源の循環的な利用及びエネルギーの適切かつ有効な利用が促進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供及び市民等の意見の反映)

第12条 市は,環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するよう努めるとともに,環境の保全及び創造に関する施策に市民及び事業者の意見を反映させるため必要な措置を講じるものとする。

(環境の保全及び創造に関する教育,学習等)

第13条 市は,市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに,これに関する活動が促進されるように,環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体等の自発的な活動の促進)

第14条 市は,市民及び事業者が自発的に行う自然環境の保全,再生資源に係る回収活動その他環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように,必要な措置を講ずるものとする。

(監視及び測定等)

第15条 市は,環境の状況を的確に把握し,並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため,必要な監視,測定等の体制の整備に努めるものとする。

(苦情の処理)

第16条 市は,公害その他の環境の保全への支障に係る苦情の円滑な処理を図るよう努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第17条 市は,広域的な取組が必要とされる環境の保全及び創造に関する施策について,国及び他の地方公共団体と協力して,その推進を図るものとする。

第3節 地球環境保全の推進等

(地球環境保全の推進及び国際協力)

第18条 市は,地球環境保全に関する施策を推進するとともに,国,他の地方公共団体及び民間団体等と連携し,地球環境保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 環境審議会

(環境審議会の設置等)

第19条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき,環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため,行方市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は,委員15人以内で組織する。

3 委員は,次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 市議会議員

(3) 各種団体の代表者

(4) その他市長が必要と認める者

4 委員の任期は,2年とする。ただし,委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。

5 委員は,再任されることができる。

6 審議会は,第1項に規定する調査審議を行うために必要があるときは,関係者の出席を求めて意見若しくは説明を聴き,又は関係者から資料の提出を求めることができる。

7 前各項に定めるもののほか,審議会の組織及び運営に関し必要な事項は,市長が規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は,公布の日から施行する。

(最初に委嘱される委員の任期)

2 この条例の施行後最初に委嘱される委員の任期は,第19条第4項の規定にかかわらず,平成29年3月31日とする。

(行方市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 行方市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年行方市条例第41号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

行方市環境基本条例

平成27年12月9日 条例第25号

(平成27年12月9日施行)

体系情報
第8編 生/第5章 環境保全
沿革情報
平成27年12月9日 条例第25号