○行方市手話言語の普及に関する条例
令和5年12月21日
条例第31号
手話は,音声言語の日本語と異なる言語であり,耳が聞こえない人や聞こえづらい人が物事を考え,会話をするときに,手指や体の動き,顔の表情を使って視覚的に表現する言語です。
ろう者は,互いを理解し,知識を蓄え,文化を創造するための手段として,手話を大切に育んできました。
近年になって,障害者の権利に関する条例や障害者基本法(昭和45年法律第84号)において,手話が言語であることが明記され,国際的にも認知されるようになってきましたが,社会における手話に対する認識は,広く共有されているとは言えません。
手話を必要とする全ての人が,日常生活及び社会生活において,手話を通じて容易に必要な情報を取得し,十分なコミュニケーションを図ることのできる社会を実現するためには,私たち一人一人が,手話がかけがえのない言語であることについて理解を深めるとともに,手話を普及し,手話を使用できる環境を整備していくことが重要です。
行方市は,ここに,手話が言語であることの認識に基づき,手話を必要とする人もしない人も全ての市民が手話への理解を深め,ともに支え合う地域社会を実現することを目指し,この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は,手話への理解の促進及び手話の普及に関し,基本理念を定め,市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに,手話に関する施策の基本的事項を定めることにより,手話に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り,もって全ての市民が,ともに支え合う地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 手話への理解の促進及び手話の普及は,手話が言語であるとの認識に基づき,市民は,手話により意思を伝え合う権利を有していることを理解し,その権利を尊重することを基本とする。
(市の責務)
第3条 市は,前条の基本理念に則り,手話への理解の促進及び手話の普及を図り,手話を必要とする人が手話を使いやすい環境を整備するため,必要な施策を推進するものとする。
(県との連携及び協力)
第4条 市は,この条例の目的及び基本理念に対する市民の理解の促進,手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に当たっては,県と連携し,及び協力するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は,基本理念に対する理解を深めるとともに,市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は,基本理念に対する理解を深めるとともに,手話を必要とする人が利用しやすいサービスの提供や,ろう者が働きやすい環境の整備に努めるものとする。
(施策の推進方針)
第7条 市は,次に掲げる手話に関する施策を推進するための方針(以下「推進方針」という。)を策定するものとする。
(1) 手話の理解及び普及に関すること。
(2) 手話による情報の取得及び提供に関すること。
(3) 手話通訳者の養成及びその他手話による意思疎通の支援に関すること。
(4) その他市長が必要と認める事項
2 市は,別に定める障害者に関する計画等を勘案して推進方針を策定するものとする。
(学校における手話の普及等)
第8条 市は,学校等の求めに応じて,幼児,児童,生徒等に対し,手話に接する機会を提供するよう努めるものとする。
(医療機関等への啓発)
第9条 市は,医療機関等に対し,手話を必要とする人が手話を使用しやすい環境づくりのための啓発に努めるものとする。
(緊急時及び災害時の対応)
第10条 市は,緊急時及び災害時において,手話を必要とする人に対し,情報の取得及びコミュニケーションの支援に必要な措置を講ずるものとする。
(財政上の措置等)
第11条 市は,手話に関する施策を推進するため,必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第12条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,市長が別に定める。
附則
この条例は,公布の日から施行する。