○行方市土採取事業規制条例

平成17年9月2日

条例第110号

(目的)

第1条 この条例は,土を採取する事業(以下「土採取事業」という。)について必要な規制を行うことにより,土採取事業に伴う災害を防止するとともに採取跡地について緑化等による適正な整備を図り,もって自然環境の保全と住民の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(適用事業)

第2条 この条例は,次の各号のいずれかに該当する土採取事業を除き,土の採取場(土を採取する一団の土地をいう。以下「採取場」という。)の面積が1,000平方メートル以上又は採取場において採取する土の量が2,000立方メートル以上の土採取事業について適用する。

(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第125条第1項の規定による許可に係る土採取事業

(2) 森林法(昭和26年法律第249号)第34条第2項(同法第44条において準用する場合を含む。)の規定による許可に係る土採取事業

(3) 道路法(昭和27年法律第180号)第91条第1項の規定による許可に係る土採取事業

(4) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第18条第1項の規定による許可(同法第19条の規定により許可を受けたものとみなす場合の許可を含む。)に係る土採取事業

(5) 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第12条第1項の規定による許可に係る宅地造成等に関する工事として行う土採取事業

(6) 河川法(昭和39年法律第167号)第25条,第27条第1項,第55条第1項又は第57条第1項の規定による許可に係る土採取事業

(7) 砂利採取法(昭和43年法律第74号)第16条の規定による認可に係る採取計画に従って行う砂利の採取に伴う土採取事業

(8) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条の規定による許可に係る開発行為として行う土採取事業

(9) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第7条第1項の規定による許可又は同条第3項の規定による届出に係る土採取事業

(10) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第25条第4項の規定による許可に係る土採取事業

(11) 茨城県自然環境保全条例(昭和48年茨城県条例第4号)第6条第4項の規定による許可,同条例第8条第1項の規定による届出又は同条例第13条第1項の規定による届出に係る土採取事業

(令5条例12・一部改正)

(土採取事業を行う者の責務)

第3条 土採取事業を行う者は,土採取事業に伴う災害を防止するとともに採取場の跡地について緑化等による適正な整備を図るための必要な措置を講じなければならない。

2 土採取事業を行う者は,土地所有者と十分に協議の上当該土採取事業について,苦情及び紛争が生じないよう努めなければならない。

(土地所有者の責務)

第4条 採取場の土地の所有者は,土採取事業を行う者が前条の規定により講ずる措置に協力するよう努めなければならない。

2 採取場の土地の所有者は,近隣地権者に配慮し当該土採取事業が適正に行われるように協力しなければならない。

(採取計画の届出)

第5条 土採取事業の事業主(土採取事業の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自ら土採取事業を行う者をいう。以下同じ。)は,土採取事業を行おうとするときは,当該土採取事業に着手する日の30日前までに,規則で定めるところにより,当該土採取事業に係る採取場ごとに当該土採取事業の事業主の氏名及び住所(法人にあっては名称,代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)並びに採取計画を市長に届け出なければならない。ただし,災害その他非常の事態の発生により,土採取事業を緊急に行う必要がある場合には,当該土採取事業を完了した後,規則で定めるところにより,速やかに,市長に届け出なければならない。

2 前項の採取計画には,次の各号に掲げる事項を定めなければならない。

(1) 採取場の区域

(2) 採取する土の量及び採取期間

(3) 土採取事業の方法及び土採取事業のための施設に関する事項

(4) 土採取事業に伴う土砂の崩壊,流出等の防止のための方法及び施設に関する事項

(5) 土採取事業に係る採取場跡地の整備に関する事項

(6) 採取した土の搬出方法に関する事項

(7) 土採取事業の請負人及び現場責任者の住所及び氏名

(8) 前各号に掲げるもののほか,規則で定める事項

3 第1項の土採取事業の事業主は,同項の規定による届出に併せて,規則で定める書類及び図面を提出しなければならない。

4 第2項に定める採取計画及び前項に定める書類及び図面は,次の各号のいずれかに掲げる資格を有する者が作成したものでなければならず,かつ,別表に定める設計基準に適合するものでなければならない。

(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学(短期大学を除く。)又は旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学において正規の土木,建築又は造園のいずれかに関する課程を修めて卒業した後,土地開発に関する技術に関して2年以上の実務の経験を有する者

(2) 学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程を含む。次号において同じ。)において正規の土木,建築又は造園のいずれかに関する修業年限3年の課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した後(同法による専門職大学の前期課程にあっては,修了した後),土地開発に関する技術に関して3年以上の実務の経験を有する者

(3) 前号に該当する者を除き,学校教育法による短期大学若しくは高等専門学校又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校において正規の土木,建築又は造園のいずれかに関する課程を修めて卒業した後(同法による専門職大学の前期課程にあっては,修了した後),土地開発に関する技術に関して4年以上の実務の経験を有する者

(4) 学校教育法による高等学校又は旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)による中等学校において正規の土木又は建築に関する課程を修めて卒業した後,土地開発に関する技術に関して7年以上の実務の経験を有する者

(5) 技術士法(昭和58年法律第25号)による本試験のうち国土交通大臣が定める部門に合格した者で,土地開発に関する技術に関して2年以上の実務の経験を有するもの

(6) 建築士法(昭和25年法律第202号)による1級建築士の資格を有する者で,土地開発に関する技術に関して2年以上の実務の経験を有するもの

(7) 測量法(昭和24年法律第188号)による測量士の資格を有する者で,土地開発に関する技術に関して5年以上の実務の経験を有するもの

(8) 建設業法(昭和24年法律第100号)による土木施工管理技師の資格を有する者

(9) 宅地造成及び特定盛土等規制法による設計資格を有する者

(令元条例4・令5条例12・一部改正)

(変更の届出)

第6条 前条第1項の規定による届出をした者は,当該届出に係る同条第2項第1号から第6号までに掲げる事項を変更しようとするときは,規則で定めるところにより,あらかじめ,その旨を市長に届け出なければならない。

2 前条第1項の規定による届出をした者は,当該届出に係る土採取事業の事業主の氏名及び住所(法人にあっては名称,代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)又は同条第2項第7号及び第8号に掲げる事項を変更したときは,規則で定めるところにより,遅滞なく,その旨を市長に届け出なければならない。

(遵守義務)

第7条 土採取事業の事業主又は土採取事業の請負人は,第5条第1項の規定による届出に係る採取計画(同条第2項第1号から第6号までに掲げる事項に限る。前条第1項の規定による変更の届出をしたときは,その変更後のもの)に基づき,適正に土採取事業を行わなければならない。

(計画変更の勧告)

第8条 市長は,第5条第1項又は第6条第1項の規定による届出があった場合において,当該届出に係る土採取事業に伴い,土砂の崩壊,流出及び粉じんの発生(以下「土砂の崩壊等」という。)のおそれがあると認めるとき又は当該届出に係る採取場の跡地の適正な整備が行われないと認めるときは,当該届出をした者に対し,当該届出に係る採取計画の変更を勧告することができる。

(措置命令)

第9条 市長は,第5条第1項の規定による届出に係る土採取事業に伴い,土砂の崩壊等のおそれがあると認めるときは,当該土採取事業の事業主又は請負人に対し,期限を定めて,土の採取の方法の変更その他必要な措置をとることを命ずることができる。

(停止命令)

第10条 市長は,土採取事業の事業主又は請負人が前条の規定による命令に従わないときは,それらの者に対し,当該土採取事業を停止することを命ずることができる。

2 市長は,土採取事業の事業主が第5条第1項若しくは第6条第1項の規定に違反して土採取事業を行い,又は土採取事業の事業主又は請負人が第7条の規定に違反して土採取事業を行っているときは,これらの者に対し,当該土採取事業を停止することを命ずることができる。

(緊急措置命令)

第11条 市長は,土採取事業に伴う土砂の崩壊等を防止するため緊急の必要があると認めるときは,当該土採取事業の事業主,請負人又は現場責任者に対し,当該土採取事業の停止を命じ,又は必要な措置をとることを命ずることができる。この場合において,当該土採取事業の事業主,請負人又は現場責任者が当該土採取事業の現場にいないときは,当該土採取事業に従事する者に対し,当該土採取事業の停止を命ずることができる。

(完了の届出等)

第12条 第5条第1項の規定による届出をした者は,当該届出に係る土採取事業を完了(砂利採取事業への変更を含む。)し,廃止し,又は停止(前2条の規定による場合を除く。)したときは,規則で定めるところにより,遅滞なく,その旨を市長に届け出なければならない。

2 市長は,前項の届出があったときは,速やかに当該届出に係る土採取事業が第5条第1項の規定による届出に係る採取計画(同条第2項第5号に掲げる事項に限る。第6条第1項の規定による変更の届出をしたときは,その変更後のもの。次条第1項において同じ。)に適合しているか否かについて確認するものとする。

(採取後の措置命令)

第13条 市長は,前条第2項の規定による確認に係る事項が,第5条第1項の規定による届出に係る採取計画に適合しないと認めたときは,当該土採取事業の事業主に対し,当該事項を当該採取計画に適合させるための措置をとることを命ずることができる。

2 市長は,前条第2項の規定による確認を受けた土採取事業に係る採取場の跡地について,当該土採取事業に伴う土砂の崩壊等による災害を防止するため必要があると認めるときは,当該土採取事業の事業主に対し,当該土採取事業が完了し,又は当該土採取事業を廃止した日から2年以内に限り,期限を定めて必要な措置をとることを命ずることができる。

(標識の掲示)

第14条 第5条第1項の規定による届出をした者は,当該土採取事業が完了する日まで,当該届出に係る土採取事業の採取場の見やすい場所に,規則で定める事項(第6条第1項若しくは第2項の規定による変更又は次条第2項の規定による承継の届出をしたときは,その変更又は承継後のもの)を記載した標識を掲示しなければならない。

(承継)

第15条 第5条第1項の規定による届出をした者について,相続,合併又は当該届出に係る土採取事業の譲渡があったときは,相続人(相続人が2人以上ある場合において,その全員の同意により土採取事業を承継すべき相続人を選定したときは,その者),合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は当該土採取事業の譲受人は,当該届出をした者の地位を承継する。

2 前項の規定により,第5条第1項の規定による届出をした者の地位を承継した者は,規則で定めるところにより,遅滞なく,その旨を市長に届け出なければならない。

(立入検査等)

第16条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,その職員に,土採取事業の事業主及び請負人の事務所,採取場又は採取場の跡地に立ち入り,土採取事業の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させ,又は関係者に質問をさせることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは,その身分を示す証票を携帯し,関係者の請求があったときはこれを提示しなければならない。

(報告の徴収等)

第17条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,土採取事業の事業主及び請負人に対し,期限を定めて土採取事業に関し必要な事項の報告又は資料の提出を求めることができる。

(協定)

第18条 市長は,土採取事業の事業主,請負人及び採取場の土地の所有者との間で,この条例の目的を達成するために必要と認める事項について協定を結ぶことができる。

(施行の確保)

第19条 市長は,土採取事業の事業主又は請負人が,この条例の規定に違反して土採取事業を行ったときは,それらの者に対し,この条例の適正な施行を確保するために必要な行政措置を講ずるものとする。

(委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

(罰則)

第21条 第10条又は第11条の規定による命令に違反した者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第22条 第9条又は第13条の規定による命令に違反した者は,3月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第23条 次の各号のいずれかに該当する者は,20万円以下の罰金に処する。

(1) 第5条第1項又は第6条第1項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者

(2) 第16条第1項の規定による検査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をした者

第24条 次の各号のいずれかに該当する者は,10万円以下の罰金に処する。

(1) 第6条第2項第12条第1項又は第15条第2項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者

(2) 第14条の規定に違反した者

(3) 第17条の規定による報告をせず,若しくは資料の提出をせず,又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者

(両罰規定)

第25条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し第21条から前条までの違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。

(施行期日)

1 この条例は,平成17年9月2日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日(次項において「施行日」という。)の前日までに,合併前の麻生町土採取事業規制条例(平成元年麻生町条例第33号),北浦村土採取事業規制条例(平成2年北浦村条例第4号)又は玉造町土採取事業規制条例(平成3年玉造町条例第20号)(次項においてこれらを「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分,手続その他の行為は,それぞれこの条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については,なお合併前の条例の例による。

(令和元年条例第4号)

この条例は,公布の日から施行する。

(令和5年条例第12号)

この条例は,令和5年5月26日から施行する。

別表(第5条関係)

設計基準

区分

設計の基準

1 掘削

(1) 採取方法

ア 採取工法は,通常「階段式工法」「傾斜式工法」又は「平面式工法」で行い,いわゆる「エグリ掘り」は,原則として行わないこと。

イ 隣地との保安距離は,最小限度2メートル以上とし,隣地に宅地,国道,県道及び市町道並びに鉄塔等の敷地がある場合5メートル以上,隣地に屋根等の建物がある場合は,当該建物ののき下から10メートル以上の距離をとること。ただし,擁壁等の堅固な建造物を設ける場合は,この限りでない。

ウ 採取途中の災害の防止のため,極力「切り下げ方式」を採用すること。

(2) 最終法面

ア 最終法面は,極力階段を設けること。

イ 階段を設ける場合は,切土高5メートル以下で階段幅は,2メートル以上とすること。

(3) 深さ

掘削の深さは,原則として掘削する場所の周辺の土地のうち,最も低い部分よりも低くしないものとすること。

(4) 切土の標準勾配

切土高に応じ,次に示す角度以下とすること。

 

 

 

 

 

切土高5メートルを超える場合

切土高5メートル以下の場合

 

35度

45度

 

 

 

 

2 災害防止

(1) 崩壊防止対策

ア 地山の亀裂,陥没等の異常の有無及び含水,湧水の状態を絶えず監視するとともに,計画的採取に努めること。

イ 1日の作業終了時に,落石や倒木のおそれのある浮石や立木がある場合は,その日のうちに除去すること。

ウ 気象状態に絶えず留意し,気象状態の悪化が予想される場合は,作業の中止,危険箇所の保全処理等適切な措置を講ずること。

(2) 土砂流出対策

採取中,集中豪雨その他の原因で土砂が付近に流出しないよう土俵積,土盛堤,棚等の仮設工事を行い,完了後も土砂流出のおそれがある場合は,擁壁,ダムその他これに代わり得る施設を築造し,土砂の流出に対処すること。

(3) 排水施設

ア 採取中,表水面によって法面が洗掘され,又は崩壊するおそれのある場合は,法肩に接する地山に沿って素掘側溝,コンクリートラフ等による排水溝を設置し,地山からの流水が法面に流れ込まないよう処置すること。また,完了後は,法肩線又は小段に集排水施設を設け,縦排水溝,斜排水溝及びその接合点には集排水桝等も考慮して,円滑に排水すること。

イ 湧水によって法面が洗掘され,又は崩壊するおそれのある場合は,水抜きのための水平孔,盲渠等を設置して,湧水の排除措置を講ずること。

(4) 採取跡地の保全利用

ア 採取行為を完了し,又は廃止したときは,跡地の崩壊を防止するため,法面には保護工を施工すること。

イ 採取跡地の利用計画は,周辺の環境と調和するよう配慮すること。また,採取しようとする土地が農地の場合は,採取後直ちに農地に復元すること。

3 公害保安対策

(1) 立入禁止柵

採取場内は,一般の立入りを禁じ,周囲は有刺鉄線柵,トタン塀,板塀等によって囲い,出入り口には扉を設け,標識を付けること。

(2) 騒音対策

始業,終業の時間を明確にし,騒音公害になるような早朝,深夜の作業を行わないこと。

(3) 粉じん対策

採取場からの粉じん,運搬路から生ずるホコリ等が周辺の生活環境を阻害しないよう,散水,防じん材散布,運搬車両の洗い場を設置する等適切な措置をとること。

(4) 交通対策

ア 運搬車の公道への出入り口等必要な箇所には交通整理員を配置し,安全上の配慮をすること。

イ 積込場所において規定積載量を超えないよう留意するとともに,車両には必ず全面シートを装置し,路面を汚損したときは速やかに清掃・復元すること。

4 緑の保護と緑化対策

 

ア 樹林のうち,景観上その他の見地から重要と思われるものについては,極力その全部又は一部の保存を図ること。

イ 採取跡地の法面については,原則として緑化することとし,周辺の状況,掘削前の状態を考慮して次のとおり植樹,植草等を行うこと。

(ア) 採取に当たり,山林の一部を伐採し付近の景観を悪化させた場合は,植樹,植草を併用して行い,緑の復元を図るものとすること。

(イ) 前記以外の場合は,植草,種子吹き付けを行うものとすること。

行方市土採取事業規制条例

平成17年9月2日 条例第110号

(令和5年5月26日施行)